📚 寅さんの妹のさくらではないサクラに気を付けなければ罠にはまることが多い? 9.2

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あなたはコンサート会場に向かっている。

交差点に 大勢の人がいる。誰もが空を見上げている。

それを見たあなたも、何も考えずに、空を見上げるだろう。

ど うしてだろう?

「社会的証明」の原理が働くから だ。

 

コンサートの見せ場。ミュージシャンがみごとな演奏を披露したところで1人が拍手を始める。

すると、 会場全体が拍手喝采する。

あなたもいっしょに手を叩 く。

なぜだろう?「社会的証明」の原理が働くからだ。

 

コンサートのあとで、あなたはクロークにコートを とりに行く。

すると、クロークでは前の人が皿にチッ プを置いている。

しかし、チケット代にはクロークの 費用も含まれているはずだ。

さて、あなたはどうするか?

きっとチップを置くだろう。

 

「社会的証明のワナ」とは、

「他の人と同じように行 動するのが正しい」と思ってしまう傾向を言う。

 

多く の人が正しいと感じていればいるほど、その考えが正 しいと思い込むことだ。

たとえばかげたことでも、正 しいことになってしまうのだ。

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「社会的証明のワナ」は、

株式市場において、バブル やパニックを引き起こす。

また、ファッションの流 行、マネジメント・テクニック、余暇の過ごし方、

宗教やダイェットなど、あらゆるジャンルに見られるも のである。

 

集団自殺をはかった新興宗教団体の信者たちも「社会的証明のワナ」にハマったのだ。

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1950年、アメリカのソロモン・アッシュという 心理学者が、

この「社会的証明のワナ」の実験を行った。

 

人間は集団になると、どのぐらい冷静な判断がで きなくなるのだろう?

 

被験者はさまざまな長さの線を見せられ、その線が 「最初に示された線よりも長いか、短いか」、あるい は「同じ長さであるか」を告げる。

 

単純な実験だ。被験者はみな、1人で部屋にいるときには、見せられた

 

線の長さを正しく判断している。

その後、部屋に7人 が入ってくる。

この7人はサクラだが、被験者には知 らされていない。

サクラは次々と誤った答えをする。

見せられた線が最初の線よりも明らかに長くても、 「短い」と答えるのだ。

最後に被験者の順番になる。

すると、被験者の30%が、前の人と同じように誤った 答えをした。

ただ、心理的な圧カがかかったというだけで。 なぜ、このように考えてしまうのか?

 

こうした行 動は、いわば人間の進化の過程において生き残るため の有効な作戦だったからだ。

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たとえば5万年前、

あなたは狩りをするために

仲間 といっしょにタンザニアのセレンゲティ大平原を歩い ている。

 

すると、突然、仲間が走り出した。

さて、あ なたはどうするだろうか?

立ちつくしているだろう か?

 

自分が先ほど見たのは、

本当にライオンだった のか、

それともライオンに似ている危険のない動物 だったのか、

などと頭を掻きながら考えるだろうか?

いや、そんなことはしないだろう。

あなたは仲間を追って、全力で走るはずだ。

じっくり考えるのは あとからでもできる。

安全な場所まで逃げてから考えればいい。

 

だが、そういう行動をとらなかった者は

や がて消えていき、後世に遺伝子を残せない。

 

つまり、こうした行動パターンは、

人間の奥深い部 分にしっかりと根づいているのである。

 

生き残ることとは関係のない場面でも、

わたしたちが他人と同じよ うに行動してしまうのは、そのせいなのだ。

 

「社会的証明」を利用することもある。たとえば、あなたは、見知らぬ街で行われるサッカーの試合のチ ケットを持っている。

だが、競技場がどこにあるのか 知らない。

その場合、サッカーファンとわかる人たち のあとをついていくだろう。

 

お笑い番組やトークショーでも「社会的証明」の原理が利用されている。

 

ここで観客を笑わせたいという場面に、

サクラの大きな笑い声や効果音を入れるのである。

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「社会的証明」の印象的な例の1つは、

1943年に 行われたナチス・ドイツ宣伝大臣、ヨーゼフ・ゲッベ ルスによる演説だ。

 

「諸君は総力戦を望むか?」

 

その場にいたのが1人だけだったら、

あるいは匿名で答 えていいのだったら、

誰もこの言葉に同意しなかったであろう。

 

テレビコマーシャルも、

「社会的証明のワナ」を利用し、

いわば、わたしたちの弱みにつけこんでいる。

 

「社会的証明」がもっとも効果を発揮するのは、

はっ きりと目に見える長所や短所がなく、

「あなたや私」のような、どこにでもいるごく普通の人が登場する場面である。

 

つまり、掃除用洗剤のコマーシャル に、

その国の大多数の人とは肌の色が違う人物を登場させても、たいした効果はない。

 

企業が自社商品を「一番売れているから優れた商品 である」と主張する場合には、

要注意だ。

 

「一番売れ ている」というだけで、

どうしてその商品がほかの商品よりも優れていることになるのだろう?

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イギリスの作家、サマセット・モームは

次のように 述べている。

 

「たとえ5千万人が間違ったことを正し いと主張したところで、真実にはならない」😐



 

📖 ↓

なぜ、間違えたのか?

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