📚 足し算よりも引き算のほうが成功の道? 「もったいない」はワナです。9.10

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映画に行く

その映画のストーリーはひどくお粗末だった。

上映開始から1時間後、わたしは妻の耳元でささやいた。

「もう出よう、うちへ帰ろう」。

すると、妻が答え た。「帰るわけないでしょ。30ユーロも払ってチケットを買ったんだから」

「そんなの理由にならないよ」とわたしは抗議した。

「30ユーロはもうないんだ。きみは、『サンクコスト のワナ』にハマっているだけだ」

「あなたって何かと いうとワナ、ワナって、それぱっかりー・」。

彼女は苦虫をかみつぶしたような表情で、ワナという言葉を口 にした。

 

「サンクコスト(sunk cost)」とは、もはや 回収できない費用のことをいう。

 

「埋没費用」とも呼ばれている。

 

会議

翌日のマーケティング会議にて。

広告キャンペーン はすでに4か月前から続いている。

だが、ちっとも成果が上がらない。売上げは目標をはるかに下回っている。

わたしはこのキャンペーンをすぐに中止するよう提案した。

ところが、宣伝部長は拒んだ。

「このキャンペーンにはすでに多額を投資してきた。ここでやめ てしまったら、

すべてが無駄になってしまう」。

彼も 「サンクコストのワナ」の犠牲者である。

 

浮気

ある友人は、浮気性の女性との交際に苦労してい た。

彼女は浮気をくり返し、彼が現場を押さえるたびに、彼女は彼の元に戻り、許しを請い、そして許され る。彼はそんな彼女と別れられない。

どうしてそんな 関係をいつまでも続けているのか?と本人にたずねると、こう説明してくれた。

「ぽくは彼女と付き合うために、時間もお金もエネルギーもたくさん費やしてきた。だから、今、彼女と別れるのは間違っているよう な気がするんだ」。

「サンクコストのワナ」にハマっ た典型的な例だ。

 

プライベートでもビジネスでも、ひとつひとつの決定は、常に不安定な状況で下される。

頭で思い描いていることは、実現するかもしれないし、しないかもしれない。

だが、いつだって、その気になれば、自分で選んだ道から外れることができる。

 

プロジェクト

たとえば、続けてきたプロジェクトを中断し、その結果を受け入れることもできるのだ。

不安定な状況であればあるほど、そうした選択は合理的な行動である。

だが、「サンクコストのワナ」は

多大な時間や お金や工ネルギーや愛情を注ぎこむ場面で手ぐすねを引いている。

 

客観的に見れば

それまでにつぎこまれた資金がもはや何の意味もなさないときでさえ、

多大な 出費をしたことがそのプロジェクトを継続する理由になってしまう。

投資(時間、労カ、資材、資金など〕 が多くなればなるほど、

つまりサンクコストが大きく なれぱなるほど、

プロジェクトを続けたいという欲求が高まるのだ。

 

株に投資する人も、しぱしば「サンクコストのワ ナ」の犠牲者になる。

 

持ち株を売却するタイミング を、購入価格をもとに決定することが多いからだ。

株価が購入価格を上回っているときには売るが、下回っているときには売らない。

 

だが、これは決して理性的な行動ではない。

購入価格を重視してはならない。

 

大事なのは、手持ちの株の価格がこれからどのように推 移するか(さらに、今後の投資先の相場の推移がどうなるか)という見通しだ。

 

誰もが判断を誤る可能性はあるのだ。

 

投資家は、失った金額が大きくなれぱなる ほど、

ますますその株を手放そうとしなくなる。😶

 

 

わたしたちは、どうしてこのように愚かな行動を とってしまうのだろうか?

 

それは、わたしたちはみんな、「矛盾のない状況」をつくり出そうと努カする からだ。

 

「一貫性をもたせる」ことでもっともらしく 見せようとする。

 

矛盾が嫌いなのである。

 

ところが、 プロジェクトを途中で打ち切ると、矛盾が生じ、これまでしてきたことが間違っていたと認めることになる。

反対に、意味のないプロジェクトをこのまま続けれぱ、手痛い結果が現実となる日を先送りできる。

そうすれば、 先送りされた分だけ長く、自分たちの考えには矛盾がないと思っていられるというわけだ。

 

コンコルド

かつて実行された、イギリスとフランスの共同プロジェクト、

コンコルドの開発は、このワナの典型的な例である。
 
実は 両国とも 超音速航空機は決して採算がとれないという事実に

かなり早い時期に気づいていた。

 それなのに巨額な資金が投入され続けた 。
面目を保つだけのために 。


開発の断念は負けを意味していたのだろう。
「サンクコストのワナ」は、しばしば「コンコルドの誤謬(ごびゅう)
とも呼ぱれている 。
 

このワナにハマると、費用がかさむぱかりでなく、 決定的な失敗に陥ることもある。

 

ベトナム戦争

ベトナム戦争が長引 いたのも、まさしくこれが原因である。

「我々はこの 戦争で大勢の戦士の命を犠牲にしてきた。

だから、ここで戦争をやめるのは誤りである」。そう考えたのである。 

 

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「もうすでにこんなに遠くまで来てしまったから…」

「この本をこんなに読んでしまったから…」

「この研究にもう2年も打ちこんでいるから…」

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こういった言葉を手がかりにすれば、

自分の頭の片隅に「🐺サンクコストのワナ」が牙をむいているかどうかを

見極めることができるだろう。

何かに時間やお金を投資し続ける理由はいくらでもある。

 

だが、間違っている理由が1つある。

すでに注ぎこんだものを重視し、「もったいないから」という 理由だ。

 

ふくれあがった費用や損失を無視してこそ、 合理的な決断ができる。

 

これまでに何をどれだけ費や していようが、

現在の状況と今後の見通しだけに目を向けるべきなのだ。

 

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取り返そうと思わず「...なかったこと」と考えるとリセットし前進。

大事なのは現在と未来ですね。😊

 

 

📖 ↓

なぜ、間違えたのか?

 

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