💀悪魔との対話3

👤そのうち最もよく使うのはどの恐怖ですか?

💀最初と最後、すなわち貧困と死だ。私はすべての人間に対して、彼らが生きている間に一度か二度、このうちのいずれかあるいは両方を使って私の支配力を強化する。私は非常に巧みにその恐怖の種を人間の意識の中に植えつけるので、彼らはそれを自分で作り出したものだと思い込んでいる。さらに私は、その目標を完結するために、悪魔があの世に通じる門のすぐ向こうで待っていて、死んだ人間はそこで永遠の罰を与えられると人に信じ込ませる。もちろん、私は人間を罰することなど実際にはできない。唯一できるのは、人間の意識の中に何らかの恐怖を起こすという罰だけだ。しかし、現実には存在しないものへの恐怖は、現実に存在するものへの恐怖と同じくらい効果的だ。形はどうであれ、すべての恐怖は人間の意識の中で私の占拠する空間を広げてくれる。  

👤あなたがどのようにして人間をコントロールできるようになったのか、説明してもらえないでしょうか?  

💀それはあまりにも長い話で、とても一言二言では説明できない。それはもう何百万年も前、人間が初めて考えるようになったときのことだ。それまで人間を支配していたのは私だけだった。しかし、私の敵どもが積極的思考の持つ偉大な力を発見し、それを人間の意識の中に植えつけたのだ。そのときから私の支配権を守る闘いは始まった。いまのところ、私は一人でよく闘っている。対抗勢力に奪われたのは二パーセントだけだ。  

👤話から察するに、敵というのは考える人間のことを言っているのだと思いますが、それでよろしいですか?  

💀ちっともよろしくはないが、その通りだ。

👤あなたが住んでいる場所について、もう少し教えてください。  

💀私はどこでも好きな場所に住むことができる。私には、時間や空間は存在しない。わかりやすく言えば、私は一つのエネルギーなのだ。すでに話したように、私にとって一番居心地のいい物理的な場所は人間の意識の中だ。すべての人間の脳の一部は私が支配している。それがどのくらいの範囲になるかは、その人間が何をどのくらい考えているかによる。さっきも言ったように、私は考える人間を完全に支配することはできない。  

👤さきほど、対抗勢力と言われましたが、それは どういう意味ですか?  

💀この世界に存在する、愛、信念、希望、楽観主義といった積極的な力は、すべて私の対抗勢力が支配している。対抗勢力はまた、宇宙を制御する自然法則のうちの積極的な要素も支配している。地球や惑星といったすべての星が一定の調和のもとに動いているのもこの力によるものだ。しかし、そういった力は、私が支配する、人間の意識の中で働く力にくらべれば弱いものだ。だから、私は星や惑星を支配したいとは思わない、私が支配したいのは人間の意識なのだ。  

👤あなたはどこでその力を得たのですか? また、どのようにしてそれを強化しているのですか?  

💀死んだ人間があの世への門をくぐってきたとき、彼らの意識の力を自分のものにすることによって強化している。人間が地上からこちらの次元へ戻ってくると、百人中九十八人までは私のものとなる。そのとき彼らの持っていた意識の力が私に存在する力を与えるのだ。恐怖心をたずさえて来た者はみな私のものとなる。知っての通り、私は死を目前にした人の意識に休むことなく働きかけている。それは、彼らがこちらの次元へ戻ってきたとき、その力を自分のものにするためなのだ。  

👤人間の意識を支配するためにどのような働きかけをしているのか、教えてもらえませんか?  

💀人間が生きている間に彼らの意識を支配する方法はいくらでもある。まず、物質的な富の蓄積をあきらめさせる。貧しい人間はあまり考えることをしなくなるので、それだけ私の餌食となりやすい。私のもう一つの大きな味方は病気だ。肉体的に健康でないと、きちんと考えることができない。また地上には、人間の意識を支配するという私の目的を手助けしてくれるワーカーが数えきれないほどいる。私はそういう協力者を社会のあらゆるところに配置しているのだ。どんな人種、信条、信仰のグループにも必ず一人は私の協力者が存在している。  

👤あなたの最大の敵は誰ですか?  

💀自発的に考え行動を起こすことの重要さを人間に気づかせようとする者はみな私の敵だ。ソクラテス、孔子、ボルテール、エマーソン、トマス・ペイン、エイブラハム・リンカーンなど。おまえも、あまり私の助けになるようなことはしていないな。  

👤あなたは大きな財産を持った人を利用すると聞きましたが、それは本当ですか?  

💀さっきも言ったように、貧困は常に私の友人だ。なぜなら、貧困は自分の意思で考えることをやめさせ、恐怖心を強めるからだ。しかし、裕福な人間は、私の意図に利する者もいれば、大きな害をもたらす者もいる。それは、その富をいかに使うかによって決まる。たとえば、あのロックフェラーが持つ大きな資産は、私にとって最大の敵だ。  

👤それはおもしろい。陛下、なぜロックフェラーの資産がそれほど恐いのですか?  

💀ロックフェラーの資産は、世界中の国で、病気の拡散を防いだり、撲滅したりするのに使われている。病気は常に私の最も効果的な武器の一つなのだ。貧乏への恐怖の次に効果的なのが病気への恐怖だ。また、ロックフェラーの資産により、自然界の持つ秘密が百を数える分野で明らかにされ、そのどれもが人間が自分の意識を自らのものとするのに役立てられている。さらに、衣食住の新しい形を開発し、大都会からスラムを減らしつつある。スラムは私の協力者がたくさんいる場所だ。そして、よりよい政府を作ろうとする活動に資金を出し、政治の不正を一掃しようともしている。あるいは、ビジネスをより洗練されたものにし、ビジネスパーソンが「黄金律」

(*訳注:ゴールデン・ルール。自分が人からしてほしいと思うことは自分から率先して人にしてあげるべきだという倫理観)

に則って仕事をするよう推進してもいる。どれも私の邪魔になるものばかりだ。  

👤地獄への道を進んでいると言われる若者たちについてはどうですか?あなたは彼らも支配しているのですか?  

💀それは、そうともそうでないとも言いきれない。私は酒とたばこで多くの若者たちの意識を堕落させてきたが、彼らは自発的に考えようとする傾向が強く、挫折させられることも多い。

👤さきほど、酒とたばこで多くの若者たちの意識を堕落させてきたという話が出ました。自分の意思で考える力が酒によって損なわれるというのはわからないでもないですが、たばこがあなたの手助けをするというのはどういう意味でしょうか。  

💀おまえは知らないかもしれないが、たばこは人間の粘り強さをダメにするのだ。忍耐力と集中力を失わせ、想像力を弱める。他にもいろいろな方法で、人間が自分の意思を最大限に活かそうとするのを邪魔する。一日にたばこを二箱吸う人間が、老若男女合わせて何百万人もいることをおまえは知っているか? それはつまり、私に対する抵抗力を日に日に失いつつある人間が何百万にもいるということだ。そのうち彼らには、たばこだけでなく、思考を破壊する別の習慣も植え付けて、彼らの意識を完全に支配してしまうつもりだ。 習慣は、一つ持っていると必ず二つ、三つ、四つと増えていくものだ。意思の力を弱めるような習慣は、類が友を呼んで増殖し、いずれ意識は完全に習慣に支配されることになる。喫煙は、抵抗力を弱め、粘り強さを失わせるだけでなく、人間関係をも粗雑にしてしまう。  

👤たばこが破壊の道具になるとは思ってもみませんでした。でも、いまの説明で新たな疑問が湧いたのですが、陛下が喫煙という習慣を植え付けた人はいまどのくらいいるのでしょうか?  

💀それは大した数だぞ。私の策略にかかった人間はすでに何百万人もいて、いまでも日々増えている。そう遠くないうちに、地球上のほとんどの人間が喫煙を習慣とするようになるだろう。すでに何千もの家庭で、親も子も孫も、男女の区別もなく、喫煙が行われている。子供たちの中にもその習慣を身につけ始めている者がいる。両親や兄や姉を見て、たばこの吸い方を覚えるのだ。  

👤たばこと酒、どちらの方が人間の意識を支配するのにより有効だと思いますか?  

💀私なら迷うことなくたばこを選ぶ。どんな若者も、「一日二箱たばこを吸う会」にさえ引きずり込んでしまえば、あとは飲酒であろうと過度のセックスであろうと、悪い習慣をつけさせるのはいとも簡単だ。そうなったら、彼らはもう自分の意思で考えたり行動したりできなくなる。

 

「この本が書かれたのが1938年であることを思い出してもらいたい。たばこの中毒性についてはまだ発見されていない頃だ。ここでもまたヒル博士は、医学的、社会学的な見解について、時代を先取りしている。」

 

以上

悪魔との対話1〜3  は本全体の約30%のところの紹介です。

構成は本書の目次をご覧ください。

第1章 アンドリュー・カーネギーとの出会い
第2章 「もう一人の自分」の偉大なる力
第3章 悪魔との対話
第4章 「流される」習慣
第5章 最も重要な告白
第6章 ヒプノティック・リズム
第7章 引き寄せの法則
第8章 代償の法則
第9章 善と悪は常に同時に存在している
第10章 自制心について
第11章 成功は常に過去に経験した失敗の数に比例する
第12章 「無限の知性」とつながる

 

本書を読んで、悪魔の誘いに乗らず、目的を持って思考して行動する人間になりましょう。🙂

 

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