📘 遺伝子は歴史と未来が分かります。7.13

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あなたはい一体自身の祖先を何代前までさかのぼる ことができるだろう?

5-6代?あるいは10代以上という人もいるだろう か?

 

過去の歴史を知りたいとき、

私たちは通常、文書に残さ れた記録をひもとく。

時代時代の公的な歴史ー正史に記さ れた物語を読むこともあるし、

 

一族の来歴であれば、

ロ承 で伝えられたフアミリーヒストリーがあるかもしれない。

いずれにしても、それらは、言語を介したものだ。

 

そう、 私たち人類は、

自らの来し方を言葉を通じて振り返り、

代々 受け継いできた。

 

そして時に、その物語には飛躍や欠落、 あるいは意図的な秘匿があり、

歴史のミステリーとして、 後世に生きる者たちの想像力をかき立ててくれ

る。


しかし、歴史をいまに伝えるのは、

書き言葉や話し言葉 に限ったものではない。

 

DNAという分子に刻まれた「遺 伝子」もまた、私たち人類がたどった過去の

時間を記録している。

 

歴史は、言語だけでなく、DNAによっても紡がれ ているのだ。

2010年代以降、

DNAに刻まれた歴史を読み解く試 みが多数なされ、

論文として報告されてきた。

 

その対象と なったのは、家系が克明に記録され、

なおかつ遺体(遺骨) がなんらかのかたちで保存されてきた人たち、

すなわち 「王家」の人々である。

 

本書では主に、

英国王室とエジプトのファラオを対象に おこなわれたDNA解析の結果をもとに、

それが、これま で伝えられてきた歴史とどう合致し、

どう異なるのかを紹 介していく。

 

たとえば、

ある有名な英国王に関しては、

人々が従来、 抱いてきたイメージとは異なる実像が明らかになる。

 

実際 の姿とはかけ離れた、’虚像、, がなぜ、独り歩きしてきたの か、

その理由にも迫っていく。

 

また、「永遠の生」を求め、自らをミイラ化したファラオ たちは、

数千年の時を超えて現在の私たちにDNAを伝え てくれている。

 

彼らのDNA解析から判明した、意外な事 実とは?

先にも記したように、

歴史には「飛躍や欠落、あるいは 意図的な秘匿」が含まれている。

 

あらゆる出来事を記録す るのがそもそも不可能であることに加え、

後世の人間にと って最も都合のよい事実だけが、

時に脚色をまじえながら 伝えられてきたことが、その理由だ。

 

しかし、DNAに刻まれた歴史には、

都合よく脚色を施 すことはできない。

 

そして、物質としてのDNAが残るかぎり

そこに記録されたすべての過去は、

飛躍も欠落もな く現在に伝わっている。

 

遺体(遺骨)の残された王家の人々 から抽出したDNA、

すなわち「王家の遺伝子」こそ、

言 語で記された歴史からだけでは見えない史実を、いまに伝 えてくれているのだ。

 

歴史が科学と出会い、科学が歴史を書き換える。

「D NAが歴史のミステリーを解き明かす時代」が到来してい るのである。

 

本書では、

王家の遺伝子にまつわる物語を縦糸にしなが ら、その解析を可能にした生命

科学の最新情報も織り交ぜ ていく。

 

王家の人々のみならず、すべてのヒトは同じDNAをも つ。

では、個々の人物を特定するための違いー個人差は、 DNAのどこにあるのか?

 

DNAを解析することで、「何が」「どこまで」わかるのか?

 

遺伝子はいったい、「何を」「どこまで」決めているのか?

ヒトのDNAのじつに50%近くが「繰り返し配列」でで きているという。

 

果たしてそれは、どんな意味をもってい るのか?

 

話題のゲノム編集は、

望みどおりの外見や能力をもつ デザイナーベビー」を可能にするか?

 

絶滅した生物を蘇らせるという合成生物学とは?

 

世界史の謎解きを楽しみながら、

 

DNAや遺伝子に関す る理解を深めていただければ幸いである。*前書きより

 

       ☟

        王家の遺伝子        

 

 

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