📚 つらい時あなたは、天使の言葉と悪魔のささやきどちらを選びますか? 10.15

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診断

数年前、地中海のコルシカ島で休暇を過ごしたときのことだ。

 

わたしは具合が悪くなり、日に日に腹痛がひどくなっていったので、とうとう医師に診てもらうことにした。

 

はじめて経験する症状だった。 若い医師は間診から始め、お腹、肩、そして膝を触ったり押したりした。さらに、背骨の周りをなでた。

 

ひょっとしたらこの医師にはあま り知識がないのではないか、とわたしは疑いをもちはじめていた。

 

とはいえ確信があったわけでもなかったので、苦痛にじっと耐えていた。

 

やがて、診察が終わると、医師は処方箋を書きながら言った。

 

「抗生物質を出しておきます。 1錠ずつ1日3回飲んでください。症状はいっ たん悪くなりますが、そのあとに、よくなりま す」。

 

わたしは検査結果が出たことにほっとして、体を引きずりながらホテルへ戻った。

 

それから、痛みは本当にひどくなっていった ーー医師の言った通りだった。

 

ということは、 あの医師にはきちんとした医学知識があったのだ。

 

それから3日たっても痛みは和らがないの で、診療所に電話した。

 

するとその医師は言っ た。「薬を飲む回数を1日5回に増やしてください。

まだしばらく痛みは続くでしょうが」

 

わたしはいわれた通りにした。

 

だが症状はさらに悪化したので、2日後、自宅のあるスイスの病院に連絡し、航空救助隊にコルシカ島まで迎えに来てもらった。

 

搬送先のスイスの病院で盲腸炎の診断を受け、すぐに手術が行われた。

 

手術後、「どうして、こんなになるまで放っておいたのですか?」とたずねる医師にわたしは答えた。

 

「病状の進行がコルシカの医者が言ったこととぴったり合っていたんです。

だから、その先生を信じたのです」

 

「がいったん悪化してからよくなるという言葉のワナに引っかかってしまったんですね。そのコルシカの医者は、あまり医学の知識がない、パートで雇われた看護師だったんじゃないですか?シーズン真っ盛りの観光地ではよくあることです」

 

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コンサルタント

こんな例もある。ある企業のCEOが途方に 暮れていた。

 

決算は赤字で、営業社員はやる気がない。

 

そのうえ、マーケティング活動は空振 りに終わる。

 

CEOは破れかぶれになってコンサルタントを雇った。

 

コンサルタントは1日5000ユーロの報酬と引き換えに、会社の状況 を分析し、調査結果をこう伝えた。

 

「御社の営業部にはビジョンがなく、ターゲットにしている客層もはっきりとしていません。

「 なかなか難しい状況にあります。 ですが、 わたしは、御社がこの状況を脱して活気を取りもど すようにしてみせましょう。

もちろん、一晩でというわけにはいきません。問題は複雑なの で、効果が出るまでには時間がかかります。

 

いったん、売上げは滅少しますが、そのあとで好転するでしょう」

 

CEOはこのコンサルタントを雇い入れた。

 

1年後、売上げは本当に滅少した。

 

2年目も振るわなかった。

状況は自分の予想と一致している、とコンサルタントはくり返し強調した。

 

3 年が過ぎ、売上げはさらに落ちこみ、CEOは コンサルタントをようやく首にした。

 

悪化

「いったん悪化してからよくなる」のワナは、 「確証のワナ」の親戚でもある。

 

自分の専門と言っていながら、その分野を実は何も理解していない、あるいはまったく確信がもてない人には、このワナを利用するのが無難である。

 

悪化すれぱ、予測の正しさが証明されるからだ。

 

反対に予測に反してすぐに改善されれば、顧客は喜び、それも自分の手柄になる。

 

どちらに転んでも、自分は正しいことになる。

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大統領

あなたが一国の大統領になったとしよう。

 

あなたには、国をどのように指導していったらい いのかまったくわかっていない。

 

さて、どうするだろうか?

 

まずは「困難な時期」を乗り越えなければならないだろうと予想し、

 

国民に 財布のひもを締めるよう促し、社会の膿を取り除き、一からやり直すといった「難しい局面」を経て、ようやく状況が上向きになると予測するだろう。

 

そして、このときに、苦しみの 谷がどれほど深く、涙の川を下りきるのにどれ ほど長い時間がかかるかは、あえてあいまいにしておくといい。

 

宗教・予言

このやり口で大成功を収めているのが宗教だ。

 

「地上の天国が実現される前に世界は崩壊するだろう。

大洪水、大災害、大量の死者といった大異変は、神の大きな計画の一部で避けることはできない」

 

そう予言された信者たちは、状況が悪化すれば予言が的中したと考え、状況が改善すれば神の恵みであると思い込む。

 

信者は両方信じてしまうから、宗教団体は存続するのですね。😐

 

結論

「いったん悪化してからよくなる」 と言われたら、警戒したほうがいい。

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一時的な現実

そうは言っても、実際に、いったん悪化してから浮上するケースもあるので気をつけよう。

 

たとえば、 より高い資格を取得したり、より熟練した 技術を身につけたりしようとすると、時間がかかることもあり、一時的に収入が減ることもある。

 

企業

また、企業で1つの部署全体を立て直すような場合にも、ある程度の時間が必要だろう。

けれども、実際にいったん悪化はするものの

その後本当に改善されるケースかどうかは、比較的早い時期に確認できる。

 

具体的な目標を設定していれば、達成の程度を点検できるからだ。

 

結論

天を見上げるのではなく、目標に目を向けよう。

 

神の言葉という作られた人間の言葉に惑いますね。🧐

 

Skeeter Davi スキーター・デイビス

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